海外に住む友人がむつかしい
恋をしていました。
彼女が言うには、まともに応援してくれてたのは、よーこさんだけ、だったらしいです。。。
なぜなら、彼女の相手は、ある紛争地区の国の人だったからです。
昔読んだことのある小説で南木佳士の「ダイヤモンドダスト」の中に含まれていた。「長い影」という短編がありました。
難民医療団に行っていた看護婦が難民と恋に落ちた話。
特殊な状況下で医療に関わる人たちの国家や組織とのズレが浮き彫りになっていて興味深い話でした。
読んでいて、
難民と恋に落ちるというのは、私にとってはそんなに奇怪な話でもないなーと思いました。難民になってしまった男の人はその人だけの責任ではないからです。
でも、普通の日本人の女性は、『えぇぇえっ、そんな』と思うんでしょうか。
でも、人のことを好きになるのは(彼が何を持っているか)じゃなくて (その人の存在 自体に惹かれる)んでしょ?
お金なんて関係ない、って言うなら、難民だってその人が真に素敵な人なら全然ありえるじゃないですか?
φ(.. )
まぁ、私はそういうタイプの人なので。。友人の彼女が紛争地区の民族の人を好きになった、と聞いた時も、そんなに驚きませんでした。
パスポートとかビザ大変だよね、ってくらい。
苦笑
でも友人の中でこの恋を応援してたのは私くらいだったようでした。
ところが、その後、二人の関係は順調そうだったのに、彼の方から一方的に別れ話がでたのです。
突然のことに彼女は戸惑い落ち込みました。
彼の仕事のベースはその地域でしたが、時々仕事の関係で彼女の住む首都にも来ていたのです。しかしある時に彼はばったりと彼女のもとへ来なくなりました。
電話で彼は
「理由はない! 俺たちには結果がないだけだ!」というようなことを言うばかりでした。
そんな時に私は憔悴してあきらめようとする彼女に言いました。
『状況が落ち着いたら、その地域に行って必ず本人と話したほうがいいよ。このまま話さないで終わったら一生後悔するよ』
ちょうどその頃、彼の地域の扮装が次第に激しくなり外国人の立ち入りも制限されているような状態でした。私は彼がたぶんいろいろ彼女の事を考えた結果なんじゃないかなぁ、と思ったのです。
そして先週、彼女はやっと彼に会えました。
で、結論からいえば、彼女はその人とやはり結婚を断念しました。
彼はこの地域のリーダーです。
この地域にはいなくてはならない人なのです。
━─━彼女からのメール━─━─━─━─━─
彼は、文化伝統をいかに残してゆくかということをずっと考えてました。
彼自身、まずしなくてはならないのは、自分がちゃんと自分の国の人と家庭を持ち、子供にもその文化と伝統を伝えてゆくことだという結論に達したようです。
でもそうすると、外国人の私はいろんな意味で一緒にいるのは難しいです。
彼はこれからもその地域を基盤にして生きてゆくでしょう。
「メールを送るにも2日かかるようなところで、監視されて、君が暮らしていけるとは思えないんだけれど」
そんなことを二人でじっくりと話し合いました。
私が行って話さなければ、彼も本心は話さなかったと思うので、話せて本当に良かったです。
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前回話をした時に急にどうして嫌われたんだろう・・とか相当彼女は悩んでいました。
今回、彼本人から直接理由がきけて、そして彼は決して彼女が嫌いで別れたがったわけではなかったことを、話し合えて、良かった、って心から思いました。
彼はこの国の将来の為に立ち上がっている人なんです。
そしてこの地域はやがて独立を勝ち取っていくでしょう。彼はその為にそこに残る、いわゆる『公』の人なのです。『個人』の幸せよりも『公』であることを選んだのです。
彼女の恋は終わってしまいました。
でも、彼はまだ彼女のことを愛していると思います。
ううん、たぶん結婚しても一生心の中で大事な人として彼女のことを思い続けていくと思う。
実らない恋が、全部駄目なわけじゃない、と思うんです。
世の中には沢山の実らない恋があるでしょう?
それはこんな風に政治に揺り動かされていたり、会う時期が間違っていたり、家の事情とか、それこそインドのようにカーストというような理不尽な文化とか、いろんな理由があるかと思うんだけど。。
私は恋が終わる時にお互いが相手の人がやっぱり素敵な人だったな、会えて良かったな、と思えるのがベストな恋愛だと思うのです。
そういう風に人を愛せたこと、そんな人に愛されたことを、彼女は、誇りに思うべきだと思う。
でも、今はまだきっと夜になったら毛布にくるまって泣いているんだろうなぁ、と思うとなんだか私まで泣けてきちゃいそうな感じです。
眠れなくなって、テラスから外に出るとあんまり星も見えない夜空なのでした。
空は世界中つながっているのにね。。。