今までテレビ出演の依頼はいくつか頂いていたのですが、断ってきました。
じゃ、なぜNHKスペシャルの依頼を断らなかったのか?
「NHK スペシャル 2013 世界とどう向き合うか」1月1日 午後9時〜」
実は、元旦のNHKスペシャルは、外交問題の話なので
「もしも誰かの気に入らない事を言ってしまったら、大変だよ。やめた方がいいんじゃない?」
という友人も何人かいて。
ある友人は「娘さんとか、いじめられないかな。大丈夫かな?」とまで言われてしまいました。
それでも、でようと思ったのは、友人が
「あなたみたいに、【戦争しちゃいけない】なんて言ってると、ネットで叩かれるよ」
と言われた時でした。
その時に、とっさに、本当にとっさになんですけど。。。出演しようと決めました。
私を叩くかもしれないだろう、その人たちの命も守るんだ。
いや、なんかヘンで突飛な話に聞こえるかもしれませんが、本当にそう強く思ったのです。。。
それは、私が経験で学んだことからきています。
私は、2001年の911の時にニューヨーク郊外に住んでいました。だから、米国がイラク戦争に突入していった様子を見てきました。多くの人が、大量破壊兵器はないかもしれない、と思いつつ、そういう落ちついた議論が言いだせない雰囲気になっていきました。
「やらなかったら、自分達がやられるんだぞ」
その怖さから、誰も何も言えなくなりました。
ジョンレノンのイマジンがラジオで放送自粛になり、夜中、笑いながら政治批判するコメディアンの番組が突然打ち切りになりました。あの言論が自由と信じていた国アメリカが一瞬で、反対意見を何も言いにくくなる国になり、そして戦争へと突入していきました。
そして、愛国を叫ぶ若者たちが兵隊に志願し、次々と亡くなっていきました。その時、軍は志願兵を沢山探したのです。多くの18歳19歳の若者がリクルートされて軍の最前線に行くことになりました。
そして米国人兵士4千488人の人が亡くなりました。
それは、毎日、毎日のことでした。毎日多くの人が亡くなるので、全国放送にもなりません。地方放送で、その地方で育って亡くなった人の写真が数秒流れます。それだけです。
戦死者はヒーローだと言ってもらえます。でもそれだけです。
私は、その地方テレビのニュースを、ただ、ただ茫然と毎日見ていました。
たぶんこの戦争がなければショッピングモールで買い物したり恋人とデートしたりしていただろうと思われる若い人たちの笑顔の写真を見るのが、本当にいたたまれませんでした。
そして、この戦争で、イラクの民間人(まったく戦争に決定権もなく、そこに生まれ育った人たち)の米軍主導の有志連合軍に直接殺害された数は1万4千705人。
その中で、子供は1201人。何もしていないのに、その国に生まれ育ってきただけで、子供を殺されたイラクのお母さんが、どんなに辛い思いをしたか。。。。
死者は人数だけ見たら、顔がみえません。もしも、あなたの子供が殺されたら、あなたはどうしますか?殺した人を殺したいと思ってしまうかもしれません。そして米国兵の方々が子供を殺す事それは命令であったり、誤爆であっただけで、その子たちを本当に殺したいと思っていたとは、私は決して思いません。
でも、それが戦争なのです。
そして、イラク戦争について国連のアナン事務総長はイラク戦争は「国連憲章に照らしても違法」と言明しました。
私は決して、明日平和な世の中がくるとは思っていません。
そんな楽観主義者でもありません。
でも、私は、これから、日本は、日本なりの【哲学】をつくっていかなければ、問題はいつまでたっても解決しないと思っています。
実は私は国際機関でアドバイザーをしていて、日本が多くの国に好かれている、信頼されていることを肌身で感じます。国内では、日本は駄目だ、駄目だと言っていますが、今でも日本のような国を目指したいと思っている国も沢山あります。日本も日本人も実は世界からとても信頼されています。
そして、「世界唯一の被爆国」として、「宗教戦争をしていない国」として、「戦争をしない国」として、やれることはものすごく沢山あります。
平和交渉、武装解除、災害緊急支援、貧困地区への保健活動、マイクロファイナンス。知識人の交流。グローバルヘルス、説得するコミュニケーションの技術の研磨。教育。世界を平和にする実務的戦略は実は、数えきれないくらいにあるのです。
そして実際にそれを実行している人たちも日本には沢山いる。
実は、日本は、「戦争をしない国として」ではなく、もう一段皆で上にあがって、世界の平和を構築するリーダーとして生きる道があるのじゃないかとひそかに期待しているのです。
これ想像するだけで、めちゃくちゃカッコイイ国じゃないですか?
でも、同時に私は現実主義者です。自衛隊をなくしたいと言っていません。
どこかの国の肩を持つつもりも全くありません。日本の国境でのいざこざも、充分承知しているつもりです。わけのわからないことを言う、行う国にもちろん腹がたちます。それでも、同じ土俵で戦っていたら、歴史は同じことを繰り返すことを証明しています。
新しい道を模索しないと、また沢山の(ふつうに生きてきた人たちの)命を奪う。
「戦争をしない」と決めることは、「戦争をすること」よりも何倍もの勇気がいります。
そして「戦争をさせない」ということは、それこそ何百倍の外交努力と知恵と叡智が必要になります。
なぜなら、怒って、武器をとることの方が単純明快そして簡単だからです。市民全体を恐怖に陥れて、「やらなければやられる」と煽動し国内をまとめる方が、単純でたやすいからです。弱腰だと言われないように、強く叫ぶ。そのほうが楽なんです。
どの国でも同じです。
でも、軍事力は暴力です。暴力は暴力で一時的に押さえ込むことはできても、家族を殺された側の人々の心に残った恨みは、押さえ込むことができません。歪みは残ります。
その恨みはいつか、別の場所でテロとして現れるのです。そしてその犠牲者はあなたの大切な人になるかもしれません。
実は「世界の平和構築をリードする」を堂々と国の方針として率先できる国は世界中見渡しても、ものすごく少ないのです。でも日本は言える
そして、もしそんなことを言いだせば、馬鹿じゃないかとせせら笑う人が山ほどでるでしょう。そんなことは、百も承知で言います。他国の大国が口をあんぐりさせるでしょう。苦笑
でも、いいんです。口あけさせとけば。(苦笑) 堂々とやればいいんです。戦略はいくらでもあります。2013年ですから。
だってそろそろ新しい考えを誰かが提唱していかないと同じことを繰り返すの、馬鹿馬鹿しくないですか?
そして、日本が何かのリーダーになってもいい時期にきている気がするのです。
ポイントは、平和を構築するために、暴力以外の面ですべて戦略的に徹底的に強くなることです。
子供が日本に生まれた事を心から誇りに思えるような国に。
親友が、「でもさ〜、日本で平和が大事、とか言ってたら、全く浮いたへんな人みたいに聞こえるよ〜」
って心配して一生懸命止めてくれました。
「日本ではね、誰も戦争なんかはじまるなんて夢にも思ってないんだから」
たぶんそうですよね。
でも、空気読めないのは、私が、あんなに言論が自由だと信じていたアメリカで戦争を経験したからなんです。今の日本はあの時のような雰囲気がある。
何が起こるかわからない。一瞬で何も言えない空気になる、と思います。
そう流れはじめたら、もう止める事はとても難しくなります。
まだまだその前だから、発言しよう、って。
そして、それは、たぶん、私がふつうのひとりの母親でもあるからだと思います。
広島で、長崎で、沖縄で、サイパンで。。。そして多くの空襲で、戦争で、自分の子を亡くしたお母さんたちの気持ちを考えたら、同じ親として責任をもちたいと思いました。
あんな悲惨なことをもう起こさないために。
Happy Holidays and Happy New Year
皆さん よいお年を!
雪が積もるコネチカットのホテルより