2010年09月22日

米国のゲイを守ろうとしたはずの法律

あまり日本では報じられてない(というか全然ニュースになってないと思うけど。。)

米国には「Don't Ask Don't Tell」という軍の中での法律があり、今それをオバマが撤廃するかどうかの議論で盛り上がってます。ゲイの方々の運動家から撤廃の署名運動がメールに入ってきました。


日本語にすると 、聞くな、言うな。という法律。
どんなものかと説明すると。。

1993年、当時の大統領ビル・クリントンが、米軍内での「ゲイ、レズビアン、バイセクシャル」を守る為にサインしたのね。

上役は部下に性的嗜好を聞いてはいけないし(Don't Ask)、軍人は、自分の性的嗜好をオープンにしてはならない(Don't Tell)というもの。


つまり「ゲイ」であっても「ゲイ」ある事をオープンにしなければ、除隊されたり、いじめられたりしない。というのが根底の考え

実は、この法律は私の知り合いのノースウェスタン大学の社会学の教授が原案を作ったものなのです。
シカゴ時代、彼の家に何度か招待されたことがあります。
ご飯を食べながら、彼が



これがあることでね、ゲイの人たちが差別されなくなるいい社会になるよ


ってそう言った時の彼の目がとても印象的でした。
法律をつくるって社会が変える力があるんだ!すごい!って私とても感動したのを鮮明に覚えています。

そして、時が流れ、今この法律がゲイの人たちの間で毛嫌いされている。



一番のポイントは、人権の侵害、といいます。

自分のSexualityを隠さないと除隊されてしまう。そのことこそがそもそもおかしい話じゃないか。それにこの法律があっても、「ゲイ、レズビアン」であろう軍人に対するハラスメントにより13,000人もの人が除隊させられている事実。


この話、時代の空気の流れとか、その法律の試行のされ方とかいろいろなことが折り重なっていているんだけど。。。。

守ろうとした人たちに、逆に差別だ、と毛嫌いされている今の状況を思うと、教授の気持ちを思うだけで、身体が痛くなりそうです。



この件については、いろんなことを考えさせられました。

正しいと思っている事が正しくなかったり、正しかったことが正しくなくなったり、良いと思ってやったことが実は良い影響をあたえなかったり。

重なりあう難しさをしみじみと感じます。

あと、時ですね。時間がたって、ゲイの人たちの権利が声高く言えるここまで来た、という捉え方もあるかもしれません。

このこと以外でも同じようなことって沢山あると思うんです。何が正しいか、ものすごく難しいんですよ。本当は。だからって何もしないわけにはいかない。

でも、この議論は、自分の視点を浮遊させるものすごく良い機会になっています。




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この記事へのコメント
教授はもしかするとこの時が来るのを見越していたのでは?時間が与える作用って凄いですよね。常識が非常識になったりまたその逆も。93年当時は間違いなく正しい法律だっただろうしそれがあったお陰で守られてきただろゲイコミュニティが今になって自分たちはこうなんだ、という力と勇気を得たし社会もそれに追いついてきた、そういう事なのでしょうか。
Posted by M at 2010年09月22日 17:51