2014年05月25日

ANAをやめてJALにしたわけ

2003年、今から10年前、JALが新しいロゴを発表した日のこと。
良く覚えています。

JALLOGO1


私は、その頃、まだニューヨークにいました。
「気持ち悪い」本当に申し訳ないけど、このロゴを見た時に瞬間にそう思いました。

私は、もともとデザイナー。米国で、デザインの賞もいくつかもらっています。デザインのプロとしての目から見て、「どうして、こんなことになっちゃったんだろう」というのが正直な感想。


JALがそれまで使って来たロゴはこれ↓

JAL1989-2003



どう見てもこの元のロゴの方がいい。新しいロゴは居心地が悪いぐらいに、バランスも色もカタチも全てが。。。う〜ん、なのでした。

なので、2003年、私は、多くのNYの人達に、
「JALロゴの改変がねぇ。。駄目すぎで、JALあんなんじゃ、つぶれちゃうかも」と言ってました。

それを聞いた皆さんは、笑いながら、「よーこさん、ロゴぐらいで大げさだなぁ、(笑)」って反応でした。

だから、JALが2010年に、経営再建を図ることとなった時に、NY時代にそれを聞いていた人達から、相当に驚かれました。「よ〜こさん、内部事情知ってたの?」(@@;と。

いえ、全然知りません。もちろん。苦笑

でも、ブランドとしてのロゴが、ここまでひどくなる場合は、視覚とかデザインの問題ではなく、経営体質の問題があるかもと当時は思ったのも事実です。

一般論ですが、デザインが相当に違和感ある仕上がりになる場合、だいたい大きくわけで以下のような問題があることが多いです。

経営側が、素人であるに関わらず、色々勝手なことを言って変えさせる。
そして、プロであるディレクターやデザイナーが不本意にも、言う事を聞かなければならなかった。

OR

ヘンなのに、皆違うとわかっていても、途中で止めることができる人がいない。

一般的に、そのあたりが主な原因です。

つまり、そういうことが起きる時には

1.
専門職(プロ)からの助言に耳をかたむけない雰囲気

2.
ヘンだとわかっても、言える人がいない組織の雰囲気

がある場合が多いのです。

それは、もちろんロゴだけでなく、*全ての社内の他の決定も似たようなことになります。

(*上記はあくまでもわたしの一個人が考える一般論です)


で、そういう体質だと、いろんな決定が同じように行われる可能性が高いので、事故とか遅れとかに繋がるかもね〜、と(勝手に)思ったので、私は2003年から、ニューヨーク東京の往復を全てANAに変えました。それからNY便、一度もJALを使いませんでした。

「え〜そんなことで???」と思われるかもしれないですけど、私はいつも自分の選択はそんな風に。自分が感じたことをベースに決めているのです。


そんな感じで、ずっとANA派だった私ですが、ちょうど年末の頃でしょうか。ANAの、「金髪・付け鼻」コマーシャルを目にした時に、あの2003年時のJALロゴ見たのと全く同じ気持ちになりました。

「ないな〜〜〜〜〜」って(笑)

このCMをすぐに止められない経営陣がいる今のANAに乗るのは、どうなの?。。。と。
たかが、CMで、おおげさかと思われるかもしれないのですけど。苦笑

こういうの見ると、あぁ、本当にわかってる人がいても、言えない体質なのだなぁ。止められないんだなぁ。と。そうすると、これ以外にも、いろんなところにほころびがでてるんじゃないかって感じました。

私は企業も人間みたいに、繊細なものだと思っています。
どこか些細な部分でも、傷ついている部分をなおせなければ、いつか全体が痛んでくる。

詳しく知りたい方はここ。冷泉彰彦さんがわかりやすく説明されています。→「金髪・付け鼻」はどうして差別になるのか



そして、ANAをずっとつかってきた私ですが、JALのロゴも原点回帰なんだけれども単なる戻るって感じではなくて、なかなか良い感じに再生されてるみたいだし、ってことで、乗る飛行機をJALに変えることにしました。

JAL LOGO 2011



最近、よく使うのは羽田ー北京。機体もいいし。デザインもサービスも気持ちいい。JAL再建した稲盛さんは、再建中いつもエコノミークラスに乗ってたみたいですね。JALはエコノミーの食事も美味しくなってる。アイスはハーゲンダッツだしw

羽田ー北京は、ビジネスクラスも、エコノミークラスも本当に心地いいです。


jal



ロゴ、うつくしいなぁ。。
そういうわけで。。。少しの間JALかな、と思ってます。

う〜ん。ANA、頑張れ。笑



この記事へのコメント
5
友人のFBにお勧めとして、リンクがあったので、ページを拝見しました。ロゴ一つで、いろいろ考えている人がいるのが、感動です。楽しく読ませて頂きました。雑学ですが、サイド情報がありましたので、コメントいたします。JALのロゴは最初は1951年あたりに新聞の公募できめています。当時の記憶があるかたは毎日新聞だったそうです。スチュワーデス1期生も同じ新聞募集だそうです。もちろんコネ枠が沢山あったそうですが。。。その最初のロゴ(赤と水色)があまり洒落ていないので、1958年にアメリカのデザイン事務所に「海外の人が気に入ってくれるイメージ」という発注でアメリカ人が考える、日本的な鶴丸をデザインしたそうです。原美術館の原一族のつてでJerry Huffというサンフランシスコのデザイナーが考えてくれたそうです。ロゴはよくわからないので、日本側はアメリカに丸投げしたそうです。その後、グローバル経営に発展して3番目のロゴになりました。セリフのついたいいロゴですが、これはランドーです。このころは日本はバブル真っ最中で、それを狙って日本進出してきたランドーアソシエイツ(NY)にお願いしたそうですが、これまた丸投げでロゴに1億はらったとか。いい時代ですね。このロゴは当時不評で、経営陣がふたつにわれ、当時の機体には新しいロゴと鶴丸とふたつ付いていうという、とんでもないCI時代でした。ここがご指摘の危ない時代の前兆かもしれませんね。
Posted by じろうくん at 2014年05月27日 21:26
5
つづき//その後、JASと統合があってできたのが、ご指摘の4番目のゴシック体のロゴです。これも同じランドーアソシエイツで、若手以外、ディレクターレベルは同じデザインチームだったそうです。ご指摘のダメなロゴとありますが、この時もランドー丸投げなげであり、そんなに体制が変わった事がないように思えます。むしろ統合があったので、より力強いロゴと確実なグローバル化が重要だったので、革新をイメージした強いあのロゴとも言えます。もしかしたら、問題は同時期の96年にできた天王洲のJALビルをみるとわかるかもしれません。このビルはバブル期に統合見越して発注して、バブル後に完成。山崎豊子さんの小説のような労組問題が新聞にでてくる次期と一致します。他のビルとちがって、JALビルのガラスは、めちゃくちゃ平で、他のビルには見られないつくりです。ビルは太陽や景色がうつると、窓ガラス1枚1枚はたいらでも、全部貼ると、隣と窓同士は微妙に角度がずれ、横を車ですぎて見ると、きらきらするくらい乱反射(窓の取り付け角度がすこしづつ違う。。。)ように、なります。これが普通の高級ビルです。しかし、外からみて下から上迄、窓が巨大なガラスに格子枠をおいたくらい「たいら」に見えるのは、無理がある施行といえます。こんなのをみても、目標をあやまった観があるのでは。そして今になります。ロゴは会社の顔なので、ご指摘のように怪しいものがあると、会社全体を疑りたくなりますね。素人の僕でもその気持ちなんとなくわかります。ロゴの裏付けとしてお勧めしたいのは植栽と掃除です。会社があぶないときは、会社まわりの植栽に雑草が多くなり、トイレの掃除が行き届かない時はあぶないものです。ロゴと併用してみてはいかがでしょう。
Posted by じろうくん at 2014年05月27日 21:27
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いいね!の桁がすごい!ので、思わずメッセージ。

それから、ハーゲンダッツ♡
最近このメーカー名をよく目にするな〜〜
Posted by ポプリ at 2014年05月27日 22:00
2
アークのJALマーク、私も当初は鶴丸の方が良かったんじゃない?と思ったものです。
でも、意外にも外国人からは評判が良かったそうですよ。
日本人はJAL=鶴丸というイメージが強いので、JALのメインの客層である中高年齢層の方達は違和感を覚えたそうですが。
私も慣れてくるとそれほど悪くもないと感じました。
そもそもアークのJALマークを取り入れたのは、従来のイメージを破る為だったので、カジュアルテイストのアークは、その点では成功だったのでは?
JALがダメになったのは、何もアークになる前からの悲惨な状況が原因だっただけで、デザインは関係ありませんよ。
なるべくしてなっただけです。
ANAも倒産前のJALの状況ですから、イメージ戦略が良くても、ダメになるときはダメになるものです。
Posted by 元日系航空会社勤務 at 2014年05月30日 10:10
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最近このメーカー名をよく目にするな〜〜
Posted by DamVan at 2015年07月04日 23:54
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駆け出しデザイナーなのでお伺いしたいのですが、
このロゴのどんなところをダメだと思われたのでしょうか?

ぜひよろしくおお願い致します。
Posted by kei at 2015年08月07日 11:10
鶴丸は日本的で一目瞭然。
パッと見の安心感を覚えたものです。
不安な海外でJALの鶴丸を見ると日本を感じられる安心感とでも言いますか。

その後の無機質なマークは好きじゃなかったです。

Posted by 横浜在住 at 2016年02月02日 04:09
いいね!の桁がすごい!ので、思わずメッセージ。

それから、ハーゲンダッツ♡
最近このメーカー名をよく目にするな〜〜
Posted by Logopro at 2016年02月02日 15:32
よーこさん、なるほど!そういう見方か〜と、妙に納得しつつ、『自分が感じたことをベースに』決めるとおっしゃることに、激しく同感でございます。
実は今、2ヶ月後に里帰りするため、ちょうどNY−東京間の航空券を見ています。航空会社は特にこだわらない私ですが、数年前に初めてJFK−NRT間のJALを使ってから、お、なかなかいいじゃん。と思ったのです。周りにANA派が圧倒的に多かったため、そうなのかな〜、なんて半信半疑思っていたこともあり。価格やどうせなら途中どこかに立ち寄って帰ろうかなーと、日系以外の航空会社を使うことが多かった私は、初めてJFK-NRT間のJALに乗った時に、あまりにも感心する部分が多かったのです。機内食、よくなったなー(ケンタッキーや吉野家とのコラボ、ハーゲンダッツも!)とか、日本のビールのチョイスが多い!とか、普段乗っている方だったら、そんなことで?当たり前!とか言われそうですが。。サービス然り。
でも、自分で体感したことって、やはりどんな周りの意見よりも自分が納得する…。そう!本当にそうだ、と思ったことが何だかとても嬉しかったです。よーこさんの言葉を読んで、そう改めて気づけた。ありがとうございます。
Posted by 巌真弓 at 2016年02月06日 23:43
3
私も全く同じ理由でJALからANAに変えた1人です。残念ながらいまだにJALの支離滅裂な計画性というかデザイン、ブランド戦略性の曖昧さに不満があり、ANAを選択しています。

JALにはブリティッシュやエールフランスのフラッグエアーラインに負けないブランディングを期待したい。
Posted by hiroo fujishima at 2017年08月06日 19:57