今日、旦那の親戚のおじさんが亡くなりました。
ちょうどランチを食べていた時に知らせがはいり、病院にかけつけました。
叔母さんは、泣き叫んでいました。
「なんで、私を残していくの」
「結婚する時、辛かったの。みんなに反対されたの」
私は思わず、彼女の肩を、腕をさすりました。
その横で病院の部屋の、片付けがはじまっています。
薬は捨てていいか、歯磨きやカップはどうするか。
伯父さんの靴はどうするか。
叔母さんは泣きながらも、それには答えます。
それは捨てないで。
伯父さんと叔母さんは、40数年前に、お互いすでに違う人と結婚していました。
叔母さんには子どももいました。
でも恋に落ち、まわりの大反対を押し切り、二人とも離婚したのです。
当時では大スキャンダルだったそうです。
「叔母さんの離婚事件、親族大騒ぎで大変だったんだよ。子どもだったけど覚えてる」
旦那が昔言ってたことがありました。
叔母さんは、私に
「一緒になったとき、なにもかもなくなってしまって。貧しくて。苦しくて。非難されて。辛かったの」
と言いました。
私は叔母さんの手をさすりながら
「でも好きな人と一緒になれて良かったね。寄り添えて一緒に過ごせて良かったね」
ともらい泣きしながら、言いました。
彼女はうなずきながら、唸るように苦しそうな顔で泣いています。
金色の布と思ったよりも軽そうな棺桶がはこばれてきて、淡々と、作業がすすみ
伯父さんはそこにはいりました。
たくさんのことを犠牲にして、愛したひと。
叔母さんは偶然骨折しており、車いすなので遺体と一緒には行けません。
伯父さんをのせた黒い車に向かって叔母さんが叫びました
「行かないで。私をおいて行かないで」
なんども。なんども。